トランジットモールの導入

LRTを導入したがっている人たちがよく言う事の一つに、市街中心部のトランジットモール化ってのがある。
つまり、中心市街地の車の乗り入れを禁止し、公共交通と商用車だけ進入を許可した歩行者空間を創ろうと言う事なのだ。
私はマナーの良い商用車をあまり見たことが無いので、いっそ歩行者のみにして欲しいのだが、これは各団体で主張がまちまちのようです。
ところで、このトランジットモール中心市街地に導入したらどうなるかを私なりに考えてみました。
まず、車が乗り入れ禁止になったことにより車で来る客が消滅。車で来る人間が、バスや路面電車を使って来る事はまず無い(あってもごく少数)だろうから、中心部の商店利用者は減少。代わりに郊外のショッピングセンターが益々賑わう。更に、郊外には次々とショッピングセンターが建つようになる。そこには自治体や、商工会のお願いもあり、地元の商店が入居するが売り上げにサッパリ貢献していないと言う事で徐々に東京とか名古屋とか札幌とかのフランチャイズ店に交代させられる。
地元店からの税収が落ちる。郊外に家を持った方が生活に便利なので結局郊外化は益々進む。
と言うのが、最悪考えられるわけです。
中心市街地に車の乗り入れを禁止したところで現状だと、郊外化を規制する事が困難な為、上のような事が起こり得るのです。
私の街の中心商店街には駐車場が沢山あり、何台分用意されているか確かめたところ、2600台以上は停めれる感じだった(それ以上は面倒なので辞めた)。対して、中心から車で10分ほど行った所にあるショッピングセンターの駐車場は2800台分用意されているようだ。殆ど変わり無しです。
車で出かける場合それが郊外店でも、家から広い道に出るまでは条件は一緒なので、駐車場の位置が分かりづらいとかの理由はあるにせよ、車で街に来る条件は整っている訳です。
では、なぜ中心市街に人は来ないのかと考えた場合、そこには必然的に、商店側の努力不足があるのではないかと考える訳です。
ショッピングセンターの内の店の経営者ってのは常に、品揃えを良くしようとか、対応を良くしようとか、どうしたら客が来るかを考えているわけです。そして実行する訳です。
思うに、今、売り上げが伸びてる郊外のショッピングセンターが中心市街に来たら、多分駐車場が無くても客は来るでしょう。見てるだけでも楽しいんだから。
しかし、中心市街の店が郊外に店を出したら、例え駐車場が100台分用意されていても潰れるでしょう。だって今でも充分つまんないんだもん。
だから、そんな所をトランジットモール化しても無意味だと私は思いました。まあ、車が入ってこないってのは大きな魅力ではあるんですが、その程度の事はもう、郊外のショッピングモールでは
既に実現している事なので、その程度では投入した金額の割には効果ナシかと思うのでした。

参考リンク
歩行者・自転車優先のみちづくり
まちづくり用語集
トランジットモール
盛岡にLRTを走らせ隊