シルバーフェリーに乗る

八戸フェリーターミナルは仙台フェリーターミナルをそのまま小さくした感じだった。

タラップ車も二台備えているので、青函航路(フェリー)の様に車の入り口から乗ることも無い。
だが、桟橋設備が貧弱で、船は二隻つけれるのに、可動橋は一基しかなく、そのくせ岸壁は少し高めなので、干潮時に横付けされたフェリーは、車路橋を岸壁に着けると斜めになってしまう。

いつもそうなのかは分からないが、車の方はキャンセル待ちが出る程の盛況っぷりで、お陰で出航が20分くらい遅れた。対して人間は少なく、全等級で空席が目立った。
前日の荒れ模様を引きずって船は八戸港を出るなり上下左右に揺れまくった。これに7時間乗るのは正直辛い。以前青函航路で「びなす」に乗った時は、ウロウロする人で船の中は賑わっていたが、こうもうなると、みんな耐えるのに必死なのか船内は静かだった。
船内には風呂とオートレストラン(冷凍食品の自動販売機)がある。だが例の荒波の所為で風呂は外洋に出るなり閉鎖されていた事だろう。
海はかなりうねっていたが7月の津軽海峡よりは暖かい。酔いを落ち着かせる為にデッキに出たがまるで駄目だった。
そんなこんなで苦痛の7時間も過ぎ、王子製紙の煙突が見えてきた。

やっと苫小牧である。
堀込式の港なので着岸数分前まで荒波に揉まれる。30分以上も前から観光船気分でいられる函館とは大違いだ。改めて函館は天然の良港である。
苫小牧フェリーターミナルには大洗からの「さんふらわあ さっぽろ」と名古屋・仙台からの「きそ」が停泊していた。

遥か遠くに夜行用の「さんふらわあ」も見えた。
周辺には近海郵船のオレンジ色のRORO船川崎近海汽船RORO船も見えた。

千歳が北海道の空の玄関なら苫小牧は海の玄関だ。3社7往復の規模は伊達じゃない。
さんふらわあ」や「きそ」に比べたら、私が乗ってきた「シルバークイーン」は余りにも小さい。
遥か彼方までトレーラーの荷台で埋め尽くされている苫小牧港の風景は圧巻。
旅客ターミナルも多分東日本一の大きさで、3バース全てにボーディングブリッヂ完備。

とにかく立派。絵本になるほど立派。みれば見るほど八戸フェリーターミナルの貧弱さが思い出される。
苫小牧発札幌行きの高速バスの一部はこのフェリーターミナルを起終点にしている。さらに市営バスの本数も多く、二次交通が発達している。八戸からの徒歩乗船に比べて苫小牧からの徒歩客が多かったのはこの為だろう。
私は先を急ぐので出口に待機しているタクシーに乗った。驚く事にタクシーの初乗りは470円。
盛岡の580円は東北諸都市にくらべれば安い。八戸は640円だったかで、これは秋田も一緒だったと思う。それが海を渡れば500円いかないのだ。北海道は安い!
タクシーの運転手さんから、苫小牧と王子の関係についてちょっと教わる。
昔の子供はみんなスケートをしたとか、王子専用のホッケーリンクが4面あるとか、とにかく企業城下町は凄い。